music by G2-MIDI 「世界でたった一つの」
朝目を覚ませば、そこにいるはずの奴がいなかった。
何となく、わかってた。
だから誰かを起こすことなく、リビングを出る。
「柳生、何してんだ?」
ベランダに出れば、俺と同じ考えだった奴が一人、空を眺めながらボーっとしてた。
朝の太陽に目を細めながら俺もその隣に並んだ。
ゆっくりとした動作で俺の方へ視線を向けた柳生が「おはようございます、丸井君。」と挨拶をする。
だから俺も欠伸をしながら「はよ、」と短く返事を返した。
「いい天気ですね。 昨日も思いましたが…こんなに綺麗な空は久しぶりに見ましたよ。」
「あっちじゃここんとこ腐った空しか見てねぇからな。 ふぁああーあ。」
「欠伸、二回目ですよ。 よく眠れたのですか?」
「んーあんまり。 ずっと耳鳴りが煩くてよ。」
「……そうですか。 私もです。」
「ホント、うっせーったらありゃしねぇよな。 昨日なんて手が痺れて…」
手を太陽に翳し、鼻で笑いながら柳生を見たら、柳生は悲しそうな瞳で俺の事をじっと見つめていた。
思わず「わり…」と謝って手を下ろす。
そんな俺に柳生はただかぶりを振って小さく口を開いた。
視線がまた、空へと向いた。
「今朝目を覚ませば…幸村君が、いませんでした。」
「………トイレ?」
「まさか、お手洗いにもいませんでしたよ。 靴もなくなってました。」
「出てったのかよ…ドコに?」
「…………さあ、ドコへでしょうね。 この世界で行くところなんて、彼女の家以外、私達にはありませんよ。」
笑って、視線を落とす。
その動作一つで柳生の考えている事が俺にもわかってしまって、それ以上は何も言えなかった。
わかっていた事だから、仕方のない事だ。
薄々気づいていたから、仕方のない事、の、はず、なのに……。
「柳生、俺は……俺はまだ…」
嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だよ俺、嫌なんだよ、本当はすごく
俺、帰りたくねぇよ。
「俺はまだ、不安がちっとも拭いきれねぇ。」
消えたく、ない。
「アイツの成長した姿を見て、不安が解消されるどころか、さらに不安が増したんだよ。
時の流れを目の当たりにして、これから先も俺達の事忘れずに居てくれるのか…信じれそうに、ねぇんだよ俺。」
消えたくない。
まだアイツと、一緒に、いたい。
溢れてきた涙を堪え、唇を噛む。
そんな俺を見て、柳生がくすりと笑って「見てください」と言いながら空を指さした。
「太陽って、一つしかないんですよ。」
「…知ってる。」
「どの角度から見ても同じように丸く輝いている。 それが太陽です。」
「………、」
「きっと、私達の世界から見る太陽も、これと同じ物なのでしょうね。」
わかってる。 柳生は俺を慰めようとしてくれている事。
だけど、違うんだって事。 それもちゃんとわかってる。
この太陽は、俺の世界の物と同じ物で、同じ物じゃない。
同じような空で、同じような街並みで、同じように時が流れているのに…、
アイツと生きている世界はまるで違う。
それが、俺達が出逢う為の条件でもあった。
違っていたから出逢えたのに、違っている事がこんなにも辛いなんて……。
この太陽がこの世界と俺達の世界と同じ物だって思えたのなら、一体どれだけ救われたのだろうか。
柳生の指の先でさんさんと輝く太陽を見つめていたら、目にいっぱい溜まった涙も乾いて消えた。
代わりに鼻の頭がつんとして、一回だけ鼻を啜ると柳生に「おや、風邪を引きましたか?」と訊かれた。
顔が笑ってたからきっとわかってて聞いたんだろうな。 ったく、嫌な奴。
「幸村君は、不安を取り除く事ができたのでしょうか。」
「さあな、ココにいないって事は……そういうことなんじゃねぇの?」
「やはりそういう事なんでしょうかね。」
「…それか、限界が来たってだけかもしれねぇな。」
乾いた笑い声が無理矢理喉を通る。
本当はちゃんと笑いたい。 笑っていたい。
でもよ、うまく、笑えないんだって…。
アイツには悲しい顔させたくないから、心配なんてさせたくないから。
俺達と一緒に過ごせる僅かな時間を、思う存分笑っていてほしいから。
だから俺も笑っていなくちゃいけないっていうのに、
「この不安定な状態だったら、いつ消えても可笑しくないじゃん、俺ら。」
悲しい考えしか、浮かばない。
寂しいって思いが胸を締め付けるから。
マジ、ちっともうまく笑えねぇ。
消す為にここに来たっていうのに、消そうとしていた不安が、これっぽっちも消えようとしてくれない。
俺らの世界の行く末を背負っているって言うのに、何やってんだか。
あっちに残った奴らが聞いたら、絶対ぇ怒るに違いない。
「でもマジのところさ、昨日よりさらに耳鳴りとか酷くなってるからさ、かなり時間の問題じゃねぇ?」
「そうですね、まさかトリップするだけでなくトリップした後にも影響が現れるとは思いもしませんでしたよ。」
昨日この家に来るまでの間に感じた視界の歪みや耳鳴り、手の痺れが昨日よりさらに酷くなっている。
時間がないって急かされているようで、マジ焦る。
幸村君はその限界のせいで消えたのか。
それとも不安を取り除く事ができたから、自ら元の世界へと帰ったのか。
わからないけど、それを考えるとすげぇドキドキする。
だって、もし前者だったら……
そう考えるだけで、怖いから。
こっちの世界に来て、何も手にする事ができないまま帰ることになったら俺はきっとどの道消えてしまうから。
いや、俺じゃない。
俺らの世界が、だ。
そう考えるだけで、言葉に出来ない恐怖が一気に込み上げてくる。
「俺ら、いつまでここにおれんのかな。」
目を細めて見上げた太陽。
柳生は小さく「あと少しでしょうね。」と答えて自嘲気味に笑った。
この世界で生きていく方法 FINAL STORY
「ねえジャッカル、幸村君は…?」
目を覚ました途端、視界に入ってきたのは紛れもなく茫然とした姿の。
言われてぼんやりしたまま辺りを見回してみたがそれらしき姿は見当たらない。
ああ、いないんだとまだ半分寝かかっている頭がそう認識した途端、
何だか、に対してすごく申し訳ない気持ちが沸き起こった。
「……トイレかな?」
「さあ、見てきたらどうだ?」
「ジャッカル見てきてよ。」
「何で俺だよ。 お前が自分で行けばいいだろ。」
そう言いながらも渋々立ち上がる。
行かない訳にはいかなかった。
だって、のあんな不安そうな目を見たら、行かない訳にはいかないだろう。
自分の目で確かめたくないって、言わなくてもすぐにわかった。
「ジャッカル、」
トイレの電気が点いてない事には気が付いていた。
だけど実際に戸を開けてこの目で見てみないと気が済まなくて、ドアノブを握る。
すると背後からベランダの窓が開く音と共にブン太の声がしてそのまま振り返った。
「はよ、」
「おう。 何だ、起きてたのかよ。 柳生も。」
「ええ、今日は…目が覚めてしまいました。」
「そうか、俺は今目が覚めたところだよ。 ていうかアイツに起こされたんだけどな。」
「……、起きたのか?」
「…え、ああ、起きたけど…、」
の名前が出た途端、すぐに表情を曇らせたブン太の反応を見て、俺はドアノブを握る手を放した。
もう、ここを見る必要はなくなったから。
気づいた。
気づいてしまった。
幸村は、この世界からいなくなってしまったんだと。
急に身体がずっしりと重みを増したような感覚に襲われる。
未だ俺の帰りを待っているだろうに何て報告をすればいいのか。
「幸村がいない事、気づいてるぞアイツ。」
「…そっか。」
「すげぇ寂しそうな顔してた。」
その言葉に、ブン太と柳生の表情がさらに曇っていく。
そんな反応が返ってくることなんてわかっていたはずなのに、言わなきゃ気がすまなかったんだ。
言ったって、ブン太達はいい気がしないはずなのに。 何だか、気がすまなかった。
黙り込んでしまった二人。
次に話す言葉に迷っていたら、今度は参謀が寝室から姿を現した。
「あ、柳、」
「今しがた、弦一郎が消えた。」
「…え?」
突然の報告に俺も、黙っていた二人も目を見開いて柳が立つ寝室の奥に視線を向けてしまう。
そこにはだっているんだから、きっと、
「目を離した一瞬だった。 一秒前までは隣で寝ていたのに、気づけばいなくなっていた。」
「……それで、さんは?」
柳生が真っ先にを気にかける質問をする。
柳はそっと目を伏せて首を左右に振った。
何を言わんとしているのか、わからなかったわけではなかったが、目で見なければやはり納得行かなかったんだろう。
俺もブン太も柳生も、ほぼ同時に寝室へと向かった。
「……、」
薄暗い寝室の中、座った状態でボーっとしているに向かってブン太が名前を呼ぶ。
はこちらに振り向くことなく小さく笑った。
「おはよう、みんな。」
ああ、彼女は、気づいてしまったんだ。
俺達が、もうここにいられないってことに。
「幸村君と真田君、もう帰っちゃった。」
身体が重くて。
喉が、熱くて。
ああ、どうしてこうも、俺達は彼女を傷つけることしかできないんだろう。
「ジャッカル、私みんなの朝御飯そこのコンビニで買ってくるから……その間みんな起こしてて。」
「え、あ、ああ。」
「それじゃ、私がお供しましょう。 一人では持ちきれないでしょう。」
「うんお願い。 じゃあいってきます。」
「あ、。」
「何?」
「フルーツサンドとプリンとシュークリームお願い。」
「…………ツナサンドと牛乳ね、わかった。」
「ちょっ違ぇよ! 全然違う!!」
ブン太の抗議を完全無視したはよっこいせ、と立ち上がる。 掛け声がジジ臭いな…。
机の上に置きっぱなしの昨日入ったばかりの給料が入った財布を手にとって、お供として名乗り出た柳生を連れては出て行った。
相変わらず飯は作れねぇようだ。 その辺りは全く成長していないらしい。
小母さんも気を利かせてくれたのか、結局今日の朝になっても帰ってくることはなかった。
いいのか? 高校生の娘を男塗れの中に置き去りにして。 親として心配じゃねぇのかな…。
残された俺達は、が出て行ったの家で、茫然と立ち尽くす。
まだ夢の中にいる、俺の足元で転がっている赤也と仁王を見下ろし、俺は深く溜め息を吐いた。
「消えちまったな、アイツら。」
「遅かれ早かれ、俺達もそうなるって……さっき柳生と話してた。」
「…だな。 さっきからずっと頭痛ぇ。」
「とりあえずこの二人を起こそうか。 先に赤也を起こさないと仁王が起きれんだろう。」
「ったく、まーたコイツ抱きついてやがる。 幸せそうな顔しやがって、いつも何の夢見てんだか。」
ブン太が仁王に抱きついて眠っている赤也に歩み寄り、そしてそのまま突き出ているケツを一蹴りにする。
「いってぇ!」と大きな声を上げて赤也が飛び起きたのと同時に、鬱陶しそうな顔をして仁王の目もスッと開いた。
ガシガシと頭を掻きながらボーっとした眼つきでケツを押さえて蹲る赤也を睨みつける仁王。
相変わらずだが、寝起きの仁王は怖ぇ。 あの目は完全にキレてる目だ。
「赤也、死ね。」
「ちょっ、酷いッスよっていうか痛い! マジ何かコレ入っちゃいけないツボに入った痛さ!」
「うっさいぜよ。 口引きちぎるぞ。」
「いつもの倍機嫌が悪いな仁王。」
「参謀、今すぐコイツ排水溝にでもぶち込んで来て。」
「キッチンでいいか。」
「構わん。」
「ちょっ柳先輩今俺動かさないでマジでケツがっ! ケツに響くから!! っ〜〜〜!!」
赤也の両脇を抱えようとした柳がフッと笑って涙目の赤也から離れる。
初めから仁王の言葉を本気にとってはいなかったようだ。
身の危険を回避した赤也はホッとしたように胸を撫で下ろした。 よかったな、赤也。
しばらく起きたてでボーっとしている二人を見つめていると、漸く赤也がふと異変に気が付いた。
「そういえば、先輩たちは?」
「と柳生は俺らの朝飯買いに。」
「…副部長と部長は?」
あえて言わなかった真田と幸村の事。
パッと目の色を変えた赤也の質問に、ブン太が黙る。
ブン太の目が少しだけ、寂しそうに歪んだのを見て、柳が胡坐を掻いて座っている赤也の頭をそっと撫でた。
赤也はビクッと肩を飛び上がらせて「うわっ」と声を上げ、背後に立つ柳を見上げた。
「アイツらは…先に帰った。」
「帰ったって……」
「昨日お前が風呂に入っている間にでも、何か掴んだのかも知れないな。」
赤也の目が見開かれる。
同時に、ブン太が「え、」と声を漏らした。
まだ完全に目が覚めていないだろう仁王は、視線を俯かせながら、ただボーっと自分の手を見つめている。
だけど、柳の話は聞いているんだろう。
少しだけ、ピクリと肩が揺れたのを俺は見逃さなかった。
「…掴んだって、何を?」
「さあな。 ただ、風呂から上がった後に見た精市の顔が、妙に清々しく見えたからな。 俺はそう思っただけだ。」
「別に、何も変わってなかった気がするけど…、」
「そうか? 吹っ切れた表情をしていたように俺は思ったが…。 仁王、お前もそう思っただろう?」
「………ああ、そうじゃね。」
「仁王先輩までっ…、」
驚きを隠せない赤也が仁王へと振り向く。
仁王はゆっくりと顔を上げ、何とも言えない表情を浮かべたまま「よっこしょ」と言って立ち上がった。
俺達はみんな、そんな仁王ののろのろとした動作をじっと見つめていた。
「アイツらは、を信じる事ができたんじゃろ。 ええこっちゃ。」
「…仁王、」
「幸村と真田を見習って、俺達も早くどうにかせんとな。 どの道、もう長くここにはおれんしのう。」
「………っ、」
「俺達も、ぼちぼち帰らんといかんぜよ。」
「嫌だ!!」
「……ブン太、」
俺の隣で泣きそうな顔をしたブン太を見つめ、名前を呼ぶ。
グッと口を結んで眉間に皺を寄せたブン太が、もう一度小さく「…嫌だ。」と呟いた。
「…やっぱ俺、まだダメだ。」
「ブン太サン、」
「このまま帰っちまったら絶対俺達の世界は消えちまうだろぃ! 最悪残ったとしても、この世界と行き来できねぇ!
だったらもうアイツにだって会えないし、アイツ馬鹿だから時が経てば絶対俺達の事なんか忘れちまいそうで…
そしたら俺達のことなんて必要なくなって……そんな事考えてたら不安なんてすげぇいっぱいだし…帰れねぇよっ!」
大きな目を揺るがせながら不安そうな面持ちでそう言ったブン太。
そんなブン太を見て、赤也の表情も段々と曇っていく。
…帰れない、か。
こんな曖昧な気持ちのままであっちの世界にはまだ帰りたくないっていうブン太の気持ちもわかる。
だって俺達は、と違う世界の人間だから。
違うから、そう簡単に帰れるわけがない。
次、いつ会えるかもわからない。
次があるのかもわからない。
帰ってすぐ、俺達は消えてしまうかもしれない。
この先、にまで、必要とされなくなるかもしれない。
考えるたび、不安は募るばかり。 だから、
帰りたく、なくなっちまう。
「大丈夫だよ、丸井君。」
振り返る。
いつの間にか、また、お前がいて。
「私達の生まれ育った世界は違うけどね、
世界はずっと、一つに繋がってるから。」
いつだってお前は
大好きな笑顔で、
温かい優しさで、
欲しい言葉で、
「きっとまた、会える日がくるから。 忘れることなんてないよ。」
不安定な俺達のことを、支えてくれる。
は歯を見せ、ニッコリ笑うと、
そっと袋から取り出したフルーツサンドとプリンとメロンパンを取り出し、突然のの登場に茫然とするブン太に渡した。
ブン太はそっと視線を抱えた食べ物へと移す。
しばらく無言でそれらを見つめ、閉口していた口元を一度だけ結びなおすと
「俺、シュークリームっつったんだけど。 誰がメロンパン買って来いっつったよ。」
「ちょっ、それ私の親切心の塊なのよ! なかったからわざわざメロンパン買って来てあげたのに! 文句言うなら返せ!」
「無理。 食うし。」
「キィー文句言うくせに食い意地だけは張って! もう“朝からオハヨー牛乳”あげないからね!」
「はなっから牛乳なんか頼んでねっつの! ジュース寄越せジュース!」
「ヤダね! 丸井君なんかこの“スッキリ大好き豆乳”でも飲んでろ!」
「だから牛乳はいらねっつってるだろぃ! その手に持ってるフルーツオレ寄越せ!」
「ダメーこれは私のー!!!!」
ギャーギャー言いながらフルーツオレを取り合って寝室を出て行くブン太と。
その姿を目で追いながら、ビニール袋を両手に提げた柳生がやれやれ、と言いながら寝室へ入ってきた。
「丸井君の声が、外まで丸聞こえでしたよ。 まったく、近所迷惑です。」
「……、一瞬でこのシリアスな雰囲気打ち壊してったな。」
「彼女なりの、気遣い、なんですよ。」
「…あれがッスか?」
「ええ、そうなんでしょうね。」
リビングでまだ取り合いをしているのか、ブン太との声が聞こえる。
貧乳だのメタボだの低レベルな単語が聞こえてくるのは気のせいではないだろう。
まったく、うるさい奴らだ。
同じことを思っているのか、呆れ顔の柳と目が合った。
「俺達がいつ帰っても可笑しくない状況だとは気づいているから、残された僅かな時間をこんな空気で過ごしてほしくないんだろう。」
「…そっか、そうッスね。 最後はやっぱ……笑っててほしい、ッスよね。」
あの日、屋上で元の世界へ帰っていくのことを引き止めた自分の事を思い出しているのか、赤也はへへっと鼻の下を指で擦って笑った。
柳はそんな赤也を見て、口元を緩め、「俺も朝食を食べに行くか。」と部屋を出て行く。
「では私も買ってきた物をテーブルに並べてきます。」と続いて柳生も出て行った。
残された俺と、赤也と仁王。 静かになった空間で目を合わせることなく佇んだ。
「…仁王?」
ちらりと様子を窺うように仁王へと視線を向けると、仁王は微妙な面持ちで顎を指で擦っていた。
俺の呼びかけに、赤也も無言で仁王を見上げる。
「…さてはアイツ、知っとるのう。」
そう呟いた仁王の言葉の意味を、俺も赤也も、理解する事はできなかった。
三人揃ってリビングへ行くと、さっきまでいたはずの柳生の姿が、消えてなくなっていた。