11話 挨拶は元気に!がモットーだから別に空気読んでないわけじゃないよ?

 

 

 

 

 

 

まさか朝の人が噂のだったなんて・・・・。

ちょっとびっくりした。

 

 

 

 

 

「あ、朝会ったよね!?」

「え!?あ、は、はあ・・・・。」

 

 

 

 

 

急に俺の前に現れてニッコリ笑うこの人は、俺が想像してた人と少し違った。

仁王先輩が気に入ったっつーんだからもっとオーラがある人かと思ってたのに・・・。

どこにでもいそうじゃん。

ちょっと拍子抜け。

 

 

 

 

 

「覚えてた!?嬉しい!」

「はあ!?ちょ、放してくださいよ!!」

「エへへへへ〜♪」

 

 

 

 

 

エへへ、じゃねえ!!!

 

この人、何で抱き着いてんの!?

俺まだ雪菜先輩にも抱き着いたことねえのに!

俺が離そうとしても離れてくれない。

なんつー力してんだよ!?

 

 

 

 

 

ちゃん?何してるのかな?」

「ゆ、幸村部長!」

 

 

 

 

 

俺の目の前には黒いオーラを漂わせた幸村部長が腕を組んで立っていた。

の体がびくっと揺れた。

すげえ。

もう幸村部長探知器ついてんじゃん。

 

 

 

 

 

「・・・・・おいで。」

「・・・・・は、はい!」

 

 

 

 

 

幸村部長がそう呟くと、簡単には俺から離れる。

俺はホッと胸を撫で下ろした。

びくびくしながらは幸村部長に向き直り、目を泳がしている。

幸村部長がの襟を掴んで歩き出した。

 

 

 

 

 

「・・・・・何なんだ?あの人。」

 

 

 

 

 

俺は首を傾げながら部長とを目で辿る。

どこかに連れて行かれている途中で部長の手を振り切り、柳生先輩に抱き着いた。

うわ、柳生先輩ビビってんじゃん。

その背後で部長が青筋を立てていた。

柳生先輩から無理矢理引きはがされ、部長に頭をわしづかみされている。

本当、何がしたいんだ・・・・あの人は。

第一印象は変な人。

だけどこの先、大嫌いな人に変わるのはそう遠くない話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さん、こっちに来てくれる?」

 

 

 

 

 

綺麗な女の子が部室の窓から、幸村に成敗されて落ち込んでる私に手招きした。

私は窓に小走りで近寄った。

 

 

 

 

 

「初めまして。私、無道雪菜。マネージャー業でわからないことは私に聞いてね。」

「うん、了解しました!私、!役に立たないと思うけどシクヨロ☆」

 

 

 

 

 

Vサインでしっかりキメる。

やっぱ自己紹介はブン太のキメでやらないとね!

無道さんは目を真ん丸にして私を見つめた。

 

 

 

 

 

「・・・・うん、よろしく。じゃあ早速だけど真田って言うあそこの帽子被ってる人に今日の練習メニュー聞いてきてくれる?」

 

 

 

 

 

私はスルーされたのに少しショックを覚え、肩を落として振り返った。

無道さんが指差す方には確かに真田がいた。

おー、すごい威圧感!

たまらんですなー。

 

 

 

 

 

「了解いたしました!行ってきます!」

「ありがとう。私、部室横の水道でタオル洗ってるから。そこに戻って来てね。」

「はーい。」

 

 

 

 

 

私が直ぐさま真田に向かって走りだすと(スキップすると)、窓の閉まる音が背後から聞こえた。

真田の数メートル近くまで来ると、腕を組んで立っていた真田がギロリと私を睨む。

その向こうから幸村の視線も感じられた。

私、幸村に何か・・・・監視されてないですか?

 

 

 

 

 

「さーなーだー君!」

「・・・・何の用だ。」

「今日のメニューを聞きに参りました。私は無道さんのお使いです。」

「ウム、そうか。今日のメニューは各自アップをしたあと試合に当たっている奴は試合、その他はラリーか壁打ちを、全員が程よく終わればダウンで外周だ。」

 

 

 

 

 

隣のコートを盗み見ると、試合はすでに始まっていた。

ブン太・ジャッカルのコンビと、仁王・柳生コンビが打ち合っていた。

すっげえ、生試合・・・!!

 

 

 

 

 

(いけっ、そこだ!仁王、スマッシュでキメろ!)

「ゴホン!」

 

 

 

 

 

びくぅ!

 

私の肩が飛び上がる。

真田がすごい形相で私を睨んでいた。

しまった・・・・つい。

 

 

 

 

 

「あ、ありがとうございます!では、さらば!」

 

 

 

 

 

私は真田と目を合わせることなく背を向けて走り出した。

逃げるが勝ち。

ちょうどその時、仁王がスマッシュをキメて試合は終わったみたいだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「真田、お前が睨んだりすると・・・・ちゃん、可哀相だろ?」

「そういうお前はさっき口端を捩っていたではないか。あれはいいのか?」

 

 

 

 

 

幸村は笑顔でベンチに座っている。

そんな幸村を見下ろすと、真田は眉間に皴を寄せた。

試合が終わった四人は、ボトルに入ったドリンクで喉を潤しながら二人の会話に盗耳を立てていた。

 

 

 

 

 

「俺はいいんだよ。愛情表現、だからね。」

「・・・・見えなかったが?」

「俺は素直じゃないんだよ。捻くれ者なんだ。」

 

 

 

 

 

真田が鼻で笑った。

幸村がにこやかに真田を見上げる。

真田は決して視線を合わせようとはしなかった。

 

 

 

 

 

「俺、アイツ嫌い。」

「丸井?」

「アイツ気に食わねえ」

 

 

 

 

 

丸井が空になったボトルを握り潰す。

おいおい。

物を粗末にしちゃいかんと教わらなかったか?

それにしても珍しくご機嫌斜めじゃな。

うちの天才様は。

 

 

 

 

「丸井。彼女はマネージャーになったんだからそんなこと言わない。」

「何だって幸村君はアイツをマネージャーにしたわけ?正直、別にいらないじゃん。」

「丸井君、やめたまえ。彼女に失礼ですよ?」

 

 

 

 

 

笑顔の幸村と不満そうな丸井の会話に柳生が介入する。

コイツの性格からして影でコソコソ悪口なんて言うのが気に食わないんだろう。

丸井は「わぁかったよ。」とだけ呟いてラケットで肩を叩きながら何処かへ歩いていってしまった。

柳生がそんな背中を見て呆れたように溜め息を吐いた。

 

 

 

 

 

「何か一波乱でも起きそうだな。・・・・・・ふふ、楽しみだ。」

「幸村、悪趣味だぞ。」

「真田はいつからそんな口を俺に利くようになったんだ?

 

 

 

 

 

あとでじっくり話し合おうか。」

 

 

 

 

 

ジャッカルが不意に身震いをするもんだから、空気が少し冷たくなった気がした。

気のせいではなさそうじゃが・・・・・。

真田が何か言おうとしたけれど、幸村の赤也と柳の試合のコールで無惨にもそれは爽やかに阻止された。

 

 

 

 

 

ご愁傷様。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

何か・・・・・・・・・・・・

絶対権力の幸村が好き。

 

お前最高だよ!!って人はをクリックだ!!

 

2007.01.15