5話 気づいちゃったらまず行動。じゃないとあるのは後悔のみ。

 

 

 

 

 

 

「先生、さんが人の教科書にヨダレ垂らしてきよるんですが・・・。」

「あー、コイツ俺様の授業で寝てやがんな。殴っていいぞ。」

 

 

 

 

 

さっきから隣が静かになったなと思って隣を見ると、は幸せそうに寝てた。

イビキも煩いが、もっと最悪なのは俺の教科書にヨダレを垂らしていること。

教科書を引っこ抜いて、その角で頭を殴った。

おお、痛そう痛そう。

 

 

 

 

 

「何をなさるんですか仁王君?」

「知らん。それより人の教科書にヨダレを垂らすな。」

「は?垂らしてないよ。変な気掛かりはよしてくれたまえ。」

(コイツは・・・・。)

 

 

 

 

 

何て奴だ。

少しパリバリしている惨めな教科書を見て、さらに殴りたい衝動にかられてしまう。

そこでチャイムが鳴り、昼休みに入った。

疲れる。さっさと屋上に行こう。

俺はパンと紙パックの入った袋を手に取ると席を立った。

 

 

 

 

 

「仁王君どこ行くの?昨日もお昼になったらすぐどこかに行っちゃったよね?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・屋上に飯食いに行く。」

「えー教室でみんなで食べようよー!楽しいよ!?」

「すまんけど、俺はいつもテニス部の奴らと食っとるから無理じゃ。それにクラスで食べても別におもしろくなか。」

 

 

 

 

 

一瞬、寂しそうな表情をしては掴んでいた俺の腕を放した。

少し、悪かったか、と思ったけれど仕方ない。

俺はつい最近までこうして生きてきたのだから。

コイツが転校してきて早三日。

はずっと俺に声をかけてくる。

何をするにしても、どんなに冷たく突き放しても、懲りずに俺の前へとやってきた。

コイツはわかってないのか?馬鹿なのか?とも思ったが、どうにも違うらしい。

何か、には必死さがあった。

俺に対して何があるのかはわからんが、とにかく必死だった。

 

 

 

 

 

「このクラスの人達はいい人ばっかりだし・・・・絶対楽しいよ?一日でもいいから一緒に食べようよ!」

「どこで食べても何も変わらん。俺は屋上に行く。」

 

 

 

 

 

俺にとってはどこで食べようとあまり変わりはない。

どこにいたって俺は口数が少ない方だし。

だけど屋上はレギュラーとマネージャーが集まっている。

それなりに話は進んでいるだろう。

ジャッカルだけは教室で食べたり屋上で食べたりいろいろだが、基本は屋上にいる。

今日は教室みたいじゃけど。

 

 

 

 

 

「何でそんなこと言うんだよ・・・馬鹿!さっさと屋上にでも部活仲間のところでもどこでも行けばいいじゃん!」

 

 

 

 

 

そう言って泣きそうな表情をしたは、ジャッカル達のところに向かって行ってしまった。

 

 

 

 

 

「・・・・・・何で俺怒られとるんじゃろ?」

 

 

 

 

 

俺も重い足取りで屋上へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よ、仁王!遅かったな!お前で最後だぜぃ?」

「すまんの。ちょっとばかり足止め喰らったんじゃ。」

「ふーん、それって女っスか!?」

 

 

 

 

 

赤也、嬉しそうじゃの。

口の周りに米粒つけるなっていつも言っちょるのに・・・。

今日は三つもついとる。

 

 

 

 

 

「仁王、俺が推測するには転校生のの確率が82%と出ているんだが?」

「転校生なんて来てたの?どんな子?可愛い?」

「並だ。だが驚異的な早さでもうクラスに溶け込んでいるらしいな。」

 

 

 

 

 

柳のデータに、質問をしたマネージャーである無道雪菜が感心していた。

自分の昼飯を平らげてしまった丸井が、雪菜の弁当をへずっている。

俺は柳生と幸村の隣に腰を下ろした。

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ま、アイツはただのお節介焼きじゃからな。」

 

 

 

 

 

幸村が横目で俺を見た。

何じゃ。

俺何か変なことでも言ったかの?

柳生まで箸を口に入れたまま俺を凝視しちょる。

何じゃ何じゃ?

らしくなかったかの?

 

 

 

 

 

「仁王先輩。俺のミートボールあげるっス、。どうぞ。」

「じゃあ俺、ウインナーやるよ。はい。」

「ちょ、ブン太!私のおかずでしょ?何勝手にあげてんのよ。」

 

 

 

 

 

この二人に、そんなに気を遣われるほど俺、変じゃった?

ただ、のことを思い出して言っただけなんじゃけど・・・・・・・。

というか、コイツら二人に妙にこういう態度を取られるとムカつく。

俺はもらったおかずをただただ見つめた。

俺の向かいで、柳が何かをノートにメモっていた。

 

 

 

 

 

「仁王、そんなに優しく笑うなんて珍しいじゃないか。どうかしたの?」

「は?」

 

 

 

 

 

幸村が笑って俺を見ていた。

俺、そんな笑っとったか?

そんな気はなかったんじゃが・・・・・・・。

その日、屋上に居辛くなった俺は、早めに教室に帰る事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ギブギブギブギブギブギブ!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

教室からジャッカルの叫び声と、と他の連中の笑い声が聞こえた。

俺は気づかれないようにそっと教室を覗いた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何じゃこれは。

 

 

 

 

 

ー。放してやんないとジャッカル死ぬぞ?」

「龍、ジャッカル喜んでるから大丈夫だって。ジャッカルMだもん。」

「沙希、どう見たってジャッカル白目剥いてるわよ。」

 

 

 

 

 

がジャッカルにプロレス技をかけていた。

ジャッカル、白目剥いちょる。

憐れじゃの。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

 

 

 

 

。はい、ストップ。次は仁王にしな。」

「!!」

「あー!ホントだ!仁王君だ!!」

 

 

 

 

 

がこっちに向かって走ってくる。

いや、待て。

本気でやるつもりなのか?

俺、嫌じゃ。

ジャッカルみたいにはなりたくなか。

が離れて、意識が戻ったジャッカルが俺に「逃げろ仁王!」と叫んだけど遅かった。

だけど、力では負けるはずのない俺は、容赦なくを全力で拒否った。

その時、あとから聞いたところ、俺は今まで見たこともない笑顔だったんじゃと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

今回初登場☆レギュラー出番少な・・・・・・・・。

 

お前最高だよ!!って人はをクリックだ!!

 

2006.12.12