4話 珍しいことをすれば何でか褒められる。
「にーおーうーくん、教科書見ーせて♪」
「断る。」
嫌そうに、頬杖をつきながら窓に視線を移す仁王。
私は懲りずに、離れたところから自分の机と椅子を持ってきて、仁王の机に無理矢理くっつけた。
ふふふ、何としてでも見せていただきますよ。仁王雅治。
「何しちょる。お前さん、二つ向こうの席じゃろ?自分の場所に戻りんしゃい。」
「だから教科書忘れたんだってば。見せてよ!」
「断る。」
仁王雅治、なかなか頑固ね。
だからって私は負けない!
だってアンタと仲良くならなきゃ何のためにここにいるのよ!
なれないならさっさと元の世界に帰ってやるわよ!
私はトリップの主人公なのよ!
アンタとエンジョイするためだけにここに来たんだから!!!
いや、他のレギュラーもだけどさ・・・・・・。
もう転校してきて三日経つってのに仁王とジャッカル以外、誰一人として顔見てないんだけど・・・・。
仁王と仲良くなるために熱くなりすぎちゃった。
馬鹿だな、私。
「鬼!悪魔!私が授業受けられなくてもいいって言うの!?」
「教科書なら隣の奴に見せてもらえばよか。」
「だって咲にはこの前、見せてくれない宣言されたもの。」
「じゃあジャッカル。隣じゃろ?」
「ああ、アイツは個人的にちょっと・・・。」
「何でだよ!」
隣から鋭いツッコミが聞こえてきたけど、無視。
ジャッカルが龍ちゃんに宥められながら拗ねている。
でもあれだよね。龍ちゃん顔笑ってるよね。
「オラオラオラー、授業始めるぞー。」
「根田ちゃん早くない?まだチャイム鳴ってないって!」
英語の教科書を片手に教室に入ってきた根田ちゃんに、亀ちゃんが不満げに文句を垂れた。
「うっさい。もう鳴るんだって。ホラ、鳴った。」
「げー。何か損した気分〜・・・。」
「時間的には同じだから安心しろ。・・・、お前何やってんだ?あきらか狭そうじゃねえか。」
根田ちゃんが仁王、私、ジャッカルとギッチリ並ぶ机を見て言った。
まあね、若干、無理矢理ジャッカル押し退けて机入れたからね。
狭いな。うん。
「教科書忘れたから仁王君に見せてもらってるんです!」
「おおそうか、じゃあ自分の席に戻ってジャッカルか御影に見せてもらえ。な?」
「御影さんは見せてくれません。そしてジャッカルは嫌です。」
「だから何でだよ!」
呆れたように根田ちゃんは私とジャッカルを見遣った。
また龍ちゃんがジャッカルを宥めて、何とかジャッカルは拗ねる程度に収まった。
「先生!それにですね。今回はなんと!あのクラスに打ち解けていなかった一匹狼こと
仁王君が自ら私に教科書を見せてくれているのですよ!ここは彼の好意に甘えなくては!」
「!?」
「そうか!そうなのか仁王!お前もとうとう成長したんだな。先生お前がちょっと心配だったからかなり嬉しいよ!
よーし、。今日はしょうがねえからそこで授業受けろ!」
「!?」
「はーい!」
心底嫌そうな仁王に根田ちゃんは気付くことなく、授業を始めた。
仕方なく仁王が溜め息を吐きながら教科書を真ん中に置いてくれた。
引き際わかってるいい奴じゃん。
ま、当たり前だよね。
だって仁王はかっこよくて素敵ってイメージがあるから・・・・・
きっとまだ慣れてないからであって仲良くなればあの漫画で見た仁王なはず!
「ありがとう!」
私は嬉しくなって、満面の笑顔でお礼を言うと仁王が「お礼なら体で。」
って言ったので、足をおもいっきり踏んでやった。
下を向いて必死に痛みに耐えてた。
あとがき
何か仁王ばっかりじゃん。
次、次こそ他のレギュラーを出すから!
出すからすんません!!
2006.12.12