2話 担任はフレンドリーでないとクラスは纏まり難い。
「ここが今日からお前のクラスだから。今日一日でちゃんと馴染めよ。」
「はあ・・・。」
目の前には三年五組と書かれた教室。
あれ、私二年生じゃなかったの!?赤也とクラス一緒じゃないの!?
そこまでは気が利かないのね。悪の組織は・・・・。
ガラガラっと担任が扉を開けると、そこには三十六人(←さっき先生が言ってた)の生徒が私に注目していた。
恥ずかしいなあ。おい。
「転校生、オラ。挨拶しやがれ。」
「(この不良教師・・・。)えっと、です。元気だけが取り柄なんでよろしく!」
「だそうだ。まあ馬鹿丸出しな挨拶だったけど仲良くしてやれよ!じゃあ今日の一時間目は自習っつーことでサブタイトルは『転校生と戯れよう』だから。
好きに自己紹介とかしちゃって。俺屋上で一服してるから何かあったり校長来たりしたら呼びにこいよな。じゃ、そういうことだから。」
なんつー教師だ。
この不良教師は煙草を口にくわえながら教室を出ていった。
「さーん、根田ちゃんがアンタの席はここだってさー。」
声がした方には綺麗な顔をした女の子がいた。
私の席、真ん中の1番後ろっスか?
こういう時って窓際とかがお決まりなんじゃないの?
真ん中の1番後ろって微妙だよ・・・・・。
「根田ちゃん?」
「担任。」
「あーあの不良教師!根田ちゃんって言うんだ。」
私を呼んだ女の子の後ろに座る。
まあ、真ん中の1番後ろも悪くないね。
見渡せるしね。うん。
隣ジャッカルだしね。うん。
いいんじゃない?うん。
・・・・・・・・・・・・・ジャッカルかよ!!!
「フーアーユー?」
「俺は日本語話せるぞ?」
「あ、そう?じゃあ名前は?(知ってるけど。)」
「ジャッカルだ。まあ、何か困ったことあったら言ってくれよ。教科書くらい貸すぜ?」
「気持ちだけでいいです。ごめんなさい。私隣の山崎さんに見せてもらうんで・・・。」
「私山崎じゃなくて御影咲よ。ちなみに教科書見せてやる気なんてないから。自分のことは自分でどうぞ。」
「酷っ!御影さんって冷徹人間だね。」
ジャッカルに同意を求めると、「そうなんだ。俺も御影には何度も泣かされてきた。」と共感してくれた。
ジャッカル、泣かされてきたとか・・・ダサいよ。
激ダサだな!だよ。
「御影さんじゃなくて咲って呼んでやりな!コイツ素直じゃないけど結構フレンドリーを求める奴なんだよ。」
「はあ、じゃあ咲さんで。貴女はどちらさん?」
「亀井沙季。私も沙季っつーの。みんなからは亀ちゃんって呼ばれてるからもそう呼んで!」
亀ちゃんか。うん。
何かこのクラス仕切ってそうだなー。
仕切ってるって言い方悪いかも。
纏めてる、だね。
亀ちゃんは私の前の席で、右隣りが咲。左隣がジャッカルね。
よしっ、覚えた!
「俺は渡瀬龍乃介!生徒会会長やってまーす!龍ちゃんって呼んで!」
「ま、龍がいれば私ら結構何したって最強だよな!」
「おい、俺だってちゃんと叱るときは叱るんだから控え目にしといてくれよなー!」
私の左斜め前の席の住人。
おちょけてるけどしっかりやってくれそうだ。
龍ちゃんが大きな声で自己紹介をしたのをきっかけに、クラスのみんなが私の周りに集まり、自己紹介をしてくれた。
「・・・・これで全員っスか姐御。」
「誰が姐御だ。まだ一人残ってるんだけどなー・・・・ま、アイツはしゃーないんじゃない?」
亀ちゃんが視線を窓際に移す。
私も目で追うと、そこには一人で本を読んでる仁王雅治がいた。
ナマ仁王だ!!生だよ!生の仁王が本読んでますよ!!?
だけど、みんなは私と違って複雑な表情で仁王を見つめていた。
あとがき
仁王サン登場だゼ。
ジャッカルはナチュラルに登場してるし。
サブキャラ達の中にごく自然に混じって登場してるし!
彼、そんな人ですものね。はい。
2006.12.12