帰り道、ふたり







「ねぇ日吉っ一緒に帰ろ?」





私と日吉は家が近いからよく一緒に帰っていた。

"よく"っていっても小学校のころの話だけど。











「何でわざわざお前と帰らないといけないんだよ。」









日吉が部活に入ってるせいもあるけど、なんだか一緒に居られる時間が少なくなった気がする。





いや、少なくなったんだ。









理由はやっぱりアレだ。
テニス部。




何故がイケメンばかりのあの部活。
特にレギュラー達はまるでホストのようだと聞いたことがある。

ファンクラブまであるとなると・・・・・
もしあの中のメンバーに彼女が出来ようものならそれこそお相手の子は袋叩きで ある。







準レギュラーもまた然り







それを気遣ってか日吉は自分が準レギュラーになると私を自然と避けるように なったのだ。

別に付き合ってるわけでもないし、たまに一緒に帰るくらいいいじゃないかと私 は不満に思ってる。

今まで当たり前のようにこの関係を続けていて、 これからもそれは変わらないと思っていたのに・・・・








――――なんか、物足りなかった







だからせめて今日だけは、私は日吉と帰りたくて部活が終わるまで待ち伏せする ことにしました!

部活中は日吉の邪魔にならないように図書館で待ってようっ
ここからはちょうどテニスコートも見れるから日吉の練習姿も拝めるし一石二鳥 !

あ、あれが噂の古武術ってやつ?



そうこうしているうちに日が傾きかけているのに気がついた。
部活が終わるまでずっと日吉を見ながら待っていたから時間なんてあっと言う間だった。











・・・・・そろそろ、かな?



頃合いを見て校門の前で待っていると先輩と歩いてくる日吉の姿が見えた。









「あ、来たっ・・・日ー吉ー!!!」









思いっきり声を上げて呼ぶとなにやら先輩と会話を交わしてから日吉は猛ダッシュで駆けつけてきた。
よほど急いできたのか、少し息が上がっていた。



近くまで来ると間髪も入れずに日吉はこういった。









「何で居るんだよ・・・先帰れって言っただろ。」









その言葉にカチンときた。



何よ・・・せっかく人が待ってたのに、そんな言い方しかできないの?
私はただ日吉と一緒に帰りたいだけなのにさっ









「・・・・・日吉は私とは帰りたくないんだね。」

「何言って―――」

「バカ日吉っもう二度と日吉の帰りなんか待ってあげないんだから!」









私は何か言いかけている日吉を振り切って走り出した。

それでも現役運動部の彼に足でかなうはずもなく、すぐに追いつかれた。









「待てよ・・・・っ」

「ちょ・・・離してよ!」

「お前が、逃げるからだろ。」









少し怒ったように日吉は掴んだ手を離してくれなかった。
これ以上の抵抗は無駄だと思い私はおとなしくすると、手は離さなかったが日吉の掴む力がゆるんだ。



私は無性に悲しい気持ちになった。









「・・・・もん・・・」

「え?」

「だって今日は大切な日なんだもん・・・・」

「・・・・・」

「日吉がこの世に生まれてきてくれた・・・とても大切な日、なんだよ?  だから私――――」

「・・・・・・・分かったよ。俺が悪かった。
 俺はただ、こんな寒いのにお前を一人で待たせたくなかったんだよ。」

「日吉・・―――」









恥ずかしいのか視線を逸らしながら話していたけど、顔が赤くなっている事はばっちり分かった。



・・・なんだ。やっぱり日吉は、日吉のままだ。
時が経つにつれて私と日吉の間には何か、壁みたいなものを感じていたけど








不器用な君の優しさに私が気付かなかっただけだったんだね。









「・・・なんだよ、ニヤニヤして。
 大体な、今日はお前のおばさんに家に呼ばれてたから別に一緒に帰らなくてもどうせ家でも会えたんだぞ。」

「・・家じゃダメなんだよ。」

「なんだよそれ。」









『日吉と二人で話がしたかったの』

とはさすがに言えなかったけど、結果的に二人っきりになれたから結果オーライ・・・かな?









「ハッピーバースデイ日吉っ」

「・・・・若。」

「え?」

「その日吉って言うの、止めろよ。名前で呼べ。」

「・・・・・・わ・・若?」

「・・・上出来。」









う、わ―――

一瞬だったけど、確かに笑った日吉の表情を見れた気がした。







「・・・・・来年も一緒に誕生日、過ごそうねっ」

「何言ってんだよ・・・」

「んーなんとなく!」

「(・・・その前にお前の誕生日があるからな、覚悟しておけよ)」

「何か言った?」

「・・・・・別に。なんでもねぇよ。」

「?変な若ー」






















あとがき

恋愛ゴッコ〜A君の事情〜ユギリ様への相互記念。
大変遅くなってしまって申し訳ないです;
日吉の絵も描いたのですが見るに耐えないものです・・・!汗
良ければお納めくださいーッ
こんなへっぽこサイトですがよろしくお願いしますっ
星 彼方 07.12/5



あとがき

「ぽちのいえ」の彼方ちゃんから頂いた素敵な日吉夢!
わざわざ日吉の誕生日に小説を書いてくださるなんて…!!
ありがとうございます!ツンデレ日吉ホンマかわええ!!
これからも我がサイトとつるんでくださいませっ★
頂いたイラストはイラスト置き場に移動しましたのでよろしければどうぞ!!
ユギリ 07.12/7


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Sky Ruins様です