「ふあ〜あ、……………あれ?」 「お、慈郎起きたか。約束通りお前のためにみんな集まったぜ。」 気が付けば朝になっていて。 よく見ればみんながいた。 ………約束って、何だっけ? ヤキモチ ピーンポーン また留守だった。 今日、元旦はレギュラー達みんなで初詣に行こうと約束していたのに、だ。 は全く連絡が取れない彼等に業を煮やし、半ば強引に全員の家を訪ね歩いた。 が、ことごとく全て留守だった。 まさかあの約束にマネージャーが抜かれていたわけではあるまい。 だって確かにも来いよと言われた覚えがある。 は慈郎ではないし、夢でもないはずだ。 「ごめんなさいねぇ、慈郎ったら朝早くに出て行ったのよ。一体何なのかしらねえ。 いつもなら寝正月だとか言って夕方まで寝てるってのに。」 「……そう、ですか…ありがとうございます。」 最後の望みは消えた。 慈郎なら寝てたとしても家にいると思ってたのに。 は溜め息を零して肩を落としながらとぼとぼと当てもなく歩き出す。 「せっかく不二君の誘い断ったってのに。私の親切心を返せってんだ。」 憧れの王子様、青学の不二周助。 彼とは大会の会場や練習試合などで何度か顔を合わせ、なんと今年の夏にアドレス交換までにいたった。 その時は嬉しくて嬉しくて、思わず自分が氷帝のマネージャーだということも忘れ、 思わず全員に自慢しに回ったことがある。 跡部のコメカミがヒクついていた気がしたけど、嬉しさのあまり麻痺していたのであえて突っ込むことはなかった。 さて、そこで先日、最後の部活の日に部室でゴロゴロしていたの元に一通のメールが届いた。 それが不二だ。 元旦に初詣に行こうというものだったのだが、丁度その時に慈郎がみんなで初詣に行こうと言い出していた 真っ只中だったので、は大いに悩んだが、周りではたくさんの目が自分を睨みつけていたので 渋々断りのメールを送ってその日一日泣き寝入った。 「こんなことになるなら不二君と初詣に行った方がマシだったよ。」 いや、マシなんてそんなことは言えない。 むしろそっちの方が楽しくて仕方がなかっただろう。 あの時慈郎さえあんなことを言い出さなければ自分は今頃憧れの王子様と一緒に新年を迎えることができたのだ。 「ムッカつく!電話くらい出なさいよ!!」 携帯を耳に押し当て、電話に出そうな部員に何度も何度もコールを繰り返す。 しかし何度やっても出る気配はない。 「長太郎…覚えてなさいよ…」 その頃、例の彼らは… 「ちょ、また掛かってきましたよ!どうしましょう!」 携帯を片手に慌てだす長太郎に宍戸が駆け寄る。 「ったく、アイツ絶対長太郎なら出ると思って…」 「何回かけて来るつもりやねん。もう今ので17回目やで。」 「ガハハ、そのうち長太郎の着歴全部の名前で埋まるんじゃねーの?」 ソファーに深く腰掛けてその様子をじっと眺めている跡部の肩では、 まだ目が虚ろでぼんやりとしている慈郎の姿。 「おい慈郎、本当にこれでいいのか?」 薄れいく意識の中で、跡部の声が木霊する。 そんな中、一度鳴り止んだ着信音が再びけたたましく鳴り響く。 「お、俺…出ます!!」 「おいコラ長太郎!!今出ちゃ意味がなくなるだろうが!!」 「マズイっ誰か鳳の携帯奪い取れ!」 「だって可哀想ですよ…ああっ、俺の携帯っ!!」 バッと奪い取られた携帯を見つめ、長太郎は肩を落とす。 岳人は長太郎の携帯を片手に電源を切った。 「これは俺が預かっとくからな。」 「ほんま、焦らさんといてえや。危ないところやったわ。」 「…でも…」 「大丈夫だって。は絶対ここに来るから。」 落ち込む長太郎の肩を滝が優しく叩く。 その後ろの日吉がフンと鼻で笑った。 「ふっざけんな!!アイツ電源切りやがった長太郎のくせに!!」 携帯のボタンが陥没する勢いで電源ボタンを押す。 バタンと音を立てて携帯を閉じて鞄に無理やり突っ込んでやった。 先ほどから行く当てのない足は何処へ向かってるのかもわからない道を歩き続けている。 同じ景色を見ているような気もするが、そうでない気もする。 もうクタクタだ。何軒の家を訪ね歩いたと思っているんだ。 跡部の家なんて門を探すのに何分費やしたことか。 絶対あの家は敷地が無駄に広すぎて何人か遭難しているに違いない。 「あーあ、今からでも不二君一緒に初詣行ってくれないかなー…」 不安で、寂しさで、苛立ちで、 とりあえず誰かと会いたかった。 誰でもいい、誰でも良いから連絡が繋がってさえくれればよかった。 ちょっと涙がでそうになりながら、クソ寒い道を一人で歩く。 「……バカ、」 とぼとぼと覚束ない足取り。 下を向けば涙が零れ落ちそうだったので上を向いて必死に堪えた。 こんな日に、こんな所で泣いてなんていられない。 「絶対意地でも捜し出して全員シメあげてやる!!!」 思いっきり握り締めた拳に血管が浮かび上がって消えた。 「あーあ、まだ来ないじゃん の奴。」 「そら場所も時間も何も言ってないどころか連絡全拒否やからな。来るもんもけえへんわ。」 「いくらなんでも可哀想ですって!せめて何かメールくらいは…」 「ここまで来たんだから中途半端な優しさはもう捨てなよ長太郎。 これは新年早々 に与えられた試練なんだよ。いい加減、はっきりしてもらわないとね。」 笑顔で窓の外を覗く滝に長太郎は肩を竦めて「でも…」とまだ納得のいっていない声を漏らす。 「でもやっぱりここに来る確率ってかなり低くね?」 「ああ、3日までは閉まってるってあれだけ全校集会でも言ったくらいだからな。俺様が。」 「それやのに自分がここおるってどうなん?しかも無断やで。」 「どうせ教師だって来てねえんだから別にバレやしねえよ。バレたってどうってことないがな。」 ハッハッハと高笑いを始める跡部に忍足はやれやれと言った感じで息を吐く。 跡部の隣で未だ夢の中なのかどうなのかわからない表情で虚ろな瞳を薄ら開けている慈郎に滝が近寄る。 それでも慈郎の瞳が完全に開くことはない。 「ね、慈郎。もし が来なかったら…どうするの?」 「………んー…… が、来なかっ…たら?」 慈郎が滝の台詞を鸚鵡返しのようにゆっくりと呟く。 「………どしよー……」 「ダメだこりゃ。半分寝て半分起きてやがる。」 「まあ毎年寝正月ならしいからな。今年はよう起きとる方や。」 呆れたように慈郎を見つめる宍戸と忍足に慈郎は虚ろな瞳を向けるも、 やがてまたその目は慈郎の意志も関係なく勝手に閉じてしまった。 眠い、もうそれは眠すぎるくらいに。 この丁度いい暖房の温かさといい、食べ物のおいしそうな香りといい、 慈郎の眠気を誘うには十分すぎるほどだった。 「もし がこれで不二の方へ行ってしまったら、慈郎は本当に のこと諦められるの?」 だけど滝の台詞にまた重たい目蓋をゆっくりと開く。 そこには困った表情を浮かべた滝の苦笑いが見えて、慈郎はちょっと胸がちくりと痛んだ。 そうだ、約束ってこれだ。 今日がもし自分達がドタキャンしたとわかって不二の元へと行ってしまえば 慈郎は を諦めなくてはならなかった。 それが、みんなとの約束。 言い出したのは忍足だった、でも乗ったのは紛れもなく慈郎。 『なあさっきののメール相手青学の不二やろ?』 『えーマジ?ってまだ不二にゾッコンなの?』 『なんや、覗き見たけど初詣誘われとったで。どないすんねん慈郎。』 ニヤニヤ顔の忍足に少しムッとする慈郎。 しかしその反応が面白いというようにさらに忍足は慈郎を追い詰める。 『どないするって…何が?』 『不二にとられてしまうでって話。まあは断ったみたいやけど。』 『だったら別に…』 『でもそれは俺らに遠慮したからであって、もし俺らの約束なかったら絶対不二のとこ行ってた思うで。』 俯く慈郎の頭を忍足はポンポンと叩く。 慈郎は不安になる思いを必死に抑えて唇を軽く噛み締めた。 不謹慎だが、眠い。 『なあなあ、ちょいのこと懲らしめたらん?』 『えーヤダよ。を虐めちゃダメー。』 『そないなこと言って、そんなんやったらいつまで経ってもは不二不二言うて 同じ部活の俺らより青学の不二の方ばっか行ってまうで?それってどうなん?』 『うーんそれは嫌かも…でも…どうやって?』 慈郎が首を傾げて訊くと、忍足は待ってましたと言わんばかりの 何か含みのある笑みを浮かべてこう言った。 『初詣、が俺達のとこ来るか、試してみようや。』 思えばあの約束がこんな大事になるとは思っても見なかった。 ある意味度を超えた虐めな気もしなくもないが。 慈郎は今 が何処でどうしているのか心配で仕方がなかった、 が、眠くてそれすらも頭の隅っこに追いやられている。 「諦め…られる…?」 滝が訊いてきた質問をもう一度自分で声に出して言ってみる。 当初はただ が不二より自分達のもとにやって来てくれるかという を試すだけのものだったのに、 いつの間にかそんな約束まで尾鰭をついていたことに慈郎は気づかず、承諾していた。 しかし諦められると訊かれて、諦められるわけがない。 (だって、 の膝枕気持ちEしなー…) 当然 を好きなのは膝枕だけではないのだが。 真っ先に頭に浮かんだの はがよくしてくれる膝枕だ。 屋上で一緒にサボったり、寝たり、怒られたり、楽しい日々が頭を過ぎる。 「………俺、寂しくて死んじゃう。」 「でも慈郎が何かアクション起こさない限りは確実にいつか慈郎のもとを離れて行っちゃうよ?」 「………うん、わかって……るー……」 ああ、眠い。 は本当に不二のところへと行ってしまったのだろうか。 今頃は楽しく手なんか繋いで今年一年の抱負なんかを語り合っているのだろうか。 「もしもーし、慈郎起きとるかー?……あかん、意識飛んでもうた。」 「あのさー、俺腹減ったんだけど。もう食べね?」 「ダーメ、が来てから食べるの。せっかく跡部が豪華な御節用意したのに…ってば遅すぎ。」 「いや、ですから先輩は今日のことは何も知らされてないんですって…」 長太郎は部室の壁に掛かった時計を見上げ、溜め息を吐いた。 もうすぐ昼になる。 「あー…私ってばバカ。ほんとバカ。」 まさか元旦の日までこんなところに来るとは思わなかった。 気がつけば体が勝手にこっちの方面に向かっていて、気がつけば目の前に聳え立つ我が学校。 意識がなくなると、体が一番覚えている道を勝手に進むのはわかるけど… よくもまあ、こんな所まで歩いて来たものだ。 自分で自分を褒めながら校門の前まで足を運ぶ。 「って、開いてるわけがないんだけど…」 ガチャガチャと門を押してみるけど鬱陶しい金属音を奏でるだけで開いてはくれない。 それもそうだ。だって今日は誰も来ていないはずなのだから。 鍵が開いていたらそれこそ大事件だ。 あのセキュリティーが万全なはずの氷帝学園に侵入者が入ったなんて… そんなことがあってたまるもんか。 「…次どこ捜そう…」 そろそろ本気で疲れてきた。 だって朝からずっとこんなに歩き回って、もうお昼だ。 ご飯も食べてないし、この寒さときたらキツイに決まってる。 もう諦めて家に帰るのもいいのだが、そしたらきっと泣いてしまう。 ワケがわからない寂しさと、一人ハミられた悔しさで、 きっと明日外に出られないくらいまで泣きはらしてしまうだろう。 「あれ、」 校門を離れ、学校沿いを歩いているとクラブハウスの横を通りかかる。 その奥にあるテニス部の部室が薄っすらと電気が点いているように見えるのは気のせいだろうか。 今はまだ昼だし、太陽の光が反射してそう見えているのかもしれないが、 何やら人影のようなものがすりガラスの向こうで動いているようにも見える。 「……まさか!!」 慌てては携帯を片手に塀を乗り越える。 いつもこんなことをしているからか、軽々と地面に着地。 そしてそのままテニス部の部室に向かって走り出した。 「えっと、警察…あれ何番だっけ?」 走りながら携帯に番号を打ち込む。 人影を侵入者と勘違いした は自分が部室に入る前に警察に知らせようとしていたのだった。 壁伝いにドアまで向かい、そっとドアを開いて中を覗く。 もちろんいつでも発信ボタンが押せるように携帯を片手に、だ。 「あー! が来たー!」 「は?」 「遅かったね、ささ、中入りなよ。」 思わず素っ頓狂な声を出して自分を出迎えてくれた岳人と滝を見つめる。 中は侵入者ではなく、自分が今の今まで捜し続けていた仲間達だった。 いや、彼らもある意味侵入者ではあるが。 それにしても滝のあたかも が来ることが当たり前だったような口調に、 は驚愕した。 (遅かったねって…何も訊かされてないのに来れるわけがないでしょ!!) 込み上げる怒りに、思わず顔が引き攣る。 中へと誘導され、部室の机の上には豪華な御節が用意されていた。 思わず素直に自分のお腹が鳴り響く。 宍戸なんか余程お腹が空いているのだろう、もうその前に座ってじっと御節を睨みつけていた。 「慈郎ほら起きて、が来たよ。」 「おいコラ慈郎。テメエが起きてちゃんと弁解しやがれ。」 滝と跡部が何やら慈郎を揺さぶり起こしている。 慈郎は「ん…」とくぐもった声を漏らして虚ろな目を擦る。 「…?」 「……なに。ちゃんと言うことがあるなら説明してよ。私結構キレてるんだから。」 「本当に… 、来たの?」 「だから今私がここにいるんだから来たに決まってんでしょ!さっさと説明してよ!」 未だ頭がボーっとしているらしい慈郎に若干キレ気味に説明を促す。 そんなの肩に手を置いて「まあまあ落ち着き」なんて言っている忍足だって同罪だ。 はキッと睨みつけてその手を払いのけた。 その向こうで長太郎が申し訳なさそうに肩を竦めて俯いている姿が目に入る。 「どういうつもり!私がどれだけ心配したか…わかってんの!?」 「だって、 が悪いんじゃん。」 普段からじゃ想像もできなくらい低い声で、だけどどこか拗ねたような口調でそう言った慈郎の言葉に 思わずはえ、と訊き返してしまう。 慈郎の方を見ると、彼は不貞腐れたように、でも反省しているように俯いて胡坐を掻いて座っていた。 「不二不二って…お前何なんだよ。」 「……ジロ?」 「 はいっつも俺の気持ちすら考えてくんないくせにっ…!」 話が読み取れない。 は眉間の皺を深くして慈郎をじっと見つめていた。 「俺達より…不二の方が大切なんでしょ?」 「何言って…」 「今日だって本当は、不二と初詣に行きたかったんでしょ?」 そう言って見上げた慈郎の大きな目には思わず口ごもる。 違う、なんて言えない。 実際そうだったのだから、否定すれば嘘になる。 だけど、だけど… 「は、いつだって俺達より不二なんだって…わかってた。 でも、俺、が好きだから…ちょっと懲らしめよって、忍足の提案にのっちゃった。」 そうか、忍足か、などと標的を絞ることを忘れないは 目の前でしゅんとしている慈郎の頭をそっと撫でてやる。 慈郎は弾かれたように顔を上げた。 「バカだなー慈郎は。ホント、バカ。」 「……うん。」 「あのね慈郎、大切なものって憧れの王子様より、何より、仲間なんだよ。」 「……うん。」 「不二君はそりゃ確かに好きだし、憧れるけど……」 柔らかく微笑んでいたの顔が次第に苦笑いに変わる。 「慈郎と不二君を天秤にかけたら、私はたぶん慈郎の方をとるよ。」 慈郎が目をぱちくりさせて「え?」と訊き返してきた。 頭にのせていた手で今度はわしゃわしゃと掻き回す。 「二度とこんなことしないで。じゃないと、嫌いになるからね。」 「……はあい。ごめんね。」 「はい、素直でよろしい。」 にっこりと笑ってやると、慈郎もにっこりと微笑んだ。 何だか、安心しきったような笑顔。 バカだな慈郎は、本当に、バカだ。 不二が好きだっていうのは、ただのミーハー心からくるもの。 本当に恋愛対象として好きならあれだけ言い触らしたりしないし。 は慈郎の笑顔を見て、自然と自分も笑っていることに気づいた。 「さて、一件落着したってことで…もう食ってもいいか?」 「待ちやがれ宍戸。ちゃんとみんな席についてからだ。」 「ちょっと、まだ落着してないわよ。ねえ、忍足?」 「…え、俺ですか?」 「あと…長太郎?」 「は、はい!」 冷ややかな視線を二人に向ける。 忍足は何で俺やねんって顔をモロ出しているし、長太郎は長太郎で罪悪感で縮こまっている。 「まず長太郎、電話、切りやがったな。」 「あ、あれは向日先輩に取られてっ…!」 「へえ岳人、あんたが電源切ったの?」 「だってあのままいくと着歴がのオンパレードになりかけてたから。」 長太郎が可哀想だと思って、なんて言いながら餅を頬張る岳人。 よく見てみればもう宍戸も日吉も跡部も樺地も、ましてや慈郎や忍足も食べ始めていた。 「ちょっと!私まだ言いたいことがいっぱい…!!」 「そうカッカすんなって、腹減ってるからそんな苛々してんだろ。も長太郎も早く食えよ。」 「し、宍戸さーん…。」 「宍戸あんたねえ!!」 が今度は宍戸に怒鳴ろうとしたその時、 滝が「まあまあ」と言いながらの肩に手を置いてそのまま空いている席へと座らせる。 「めでたく慈郎とカップルになったことだし、今日はいいじゃん。」 「…は?」 「マジマジ!?って俺の彼女になったの!?」 途端に目を輝かせて餅を食べていた慈郎が立ち上がる。 「ごめん、何の話…?」 「ハハ、いいよ照れなくて。さっきのはそういう意味だろ?」 「いや滝、あの…何言って」 「 は今日から慈郎の彼女なんだよね。おめでとう。」 「まじまじヤッホーイ!!」 「はあ?」 何故か喜ぶ慈郎の傍ら、は顔を引き攣らせて笑顔の滝を見上げる。 この男の考えていることなんて、ちっともわからない。 ただ、この滝の笑顔が何故かにとってはしてやったりな笑顔にしか見えなかった。 (いい加減、も気づいてほしいよね。とっくに両思いのくせに。) パチンと音を立てて箸を割り、誰にも気づかれないようにそっと滝はほくそ笑んだ。 全ての計画犯はきっと、彼だったのかもしれない。 * * * あとがき * * * ……終わっとく。 あけましたね、おめでとうございます。 いや、ホントすいません。 もうダメですあたし、新年早々ダメです本当。 どうしてもっと前から書かなかったんだろう。 サボってたら直前までできてなくて、急いで作ってこのザマ。 今年は謝ってばかりで過ごしそうな予感…。 |