僕たちは、信じていた。



この
真実から逃げたくなかった。































幸村家の息子は拳銃を片手に、跡部家の息子を殺すために跡部家に向かっていた。

その道程で、仁王家の息子とに出会った。

仁王家の息子は少し身構えた。

しかし幸村家の息子は微笑みながら拳銃を懐にしまった。

彼は二人を殺す気はなかったのだ。

彼が殺したいのは跡部家の息子と忍足家の息子。

仁王家の息子は殺意が感じられないことを悟り、肩の力を抜いた。

 

 

 

 

 

「さっき入った情報によると・・・・二人の味方はもう、俺しかいないみたいだよ?あとは跡部家くらいじゃないかな?

だけどそれもダメ。今から俺が潰しちゃうからね。」

 

 

 

 

 

 

それを聞いたは絶望感に陥った。

仁王家の息子も同じだ。

もう救いがない。

しかし、幸村家の息子は自分を味方だと言った。

それなのに跡部家を潰すのは何故だ。

仁王家の息子は気付いていた。

彼の性格からして、友情をめちゃくちゃにした跡部家の息子に怨みを抱いていることには。

それでも仁王家の息子は行かなければならなかった。

跡部家にを連れていった時点で賭けは彼の勝ち。

は助かるのだ。

そのあとは幸村家にでも匿ってもらえばいい。

そう思い、彼はを抱き抱えたまま幸村家の息子と共に跡部家を目指した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、跡部家の前で四人が睨み合っていた。

跡部、忍足、芥川、鳳家の息子の四人だ。

忍足家の息子は跡部家の息子を殺しに、跡部家の息子は自分を狙う者を殺すために。

芥川、鳳家の息子は先ほどの計画を実行するためだ。

跡部家の息子は忍足家の息子を睨み上げ、拳銃を構えた。

忍足家の息子は黙ってそんな彼を見つめ続けた。

 

 

 

 

 

 

「テメェ・・・俺を殺しに来たのかよ?」

 

 

 

 

 

 

忍足家の息子は彼の言葉に頷いた。

彼はわかっていたのかもしれない。

最終的に、こうなることを。

だから彼は自分を殺しに来た忍足家の息子に対し、冷静に問うことができたのだ。

それでも信じていた忍足家の息子に裏切られるのは辛い。

跡部家の息子は心臓がえぐり取られるような感覚に襲われた。

鳳家の息子がそんな二人を見て、芥川家の息子に言った。

 

 

 

 

 

 

「俺・・・・もうダメです。この惨劇の結末を見届けたりなんてできない!すみません・・・・・限界です。

・・・・・・・・・・・・・・・・俺・・・・・・みんなが大好きでした・・・・・・さよなら。」

 

 

 

 

 

 

そう言った鳳家の息子は持っていたナイフで自ら命を絶った。

芥川家の息子は黙って、倒れた鳳家の息子を見下した。

彼は人が良すぎたんだ。

わかっていた。

こうなることだって、予想は出来ていた。

忍足家の息子と跡部家の息子はそんな二人のやり取りを、胸を痛めながら見ていた。

その時、幸村家の息子と仁王家の息子、そしてが跡部家の前に姿を現したのだ。

幸村家の息子は先ほど懐にしまった拳銃を取り出し、跡部家の息子に狙いを定めた。

大きな銃声が鳴り、弾は跡部家の息子に向かって一直線に空を斬る。

しかし、当たったのは、狙ったはずの跡部家の息子の心臓ではなく、忍足家の息子の右胸だった。

彼は庇ったのだ。

自分が殺すはずだった跡部家の息子を。

幸村家の息子に背を向け、跡部家の息子に覆いかぶさるように・・・。

頭では殺すつもりだった彼を、体が勝手に庇っていたのだった。

跡部家の息子にもたれ掛かるようにして倒れる。

そんな彼を跡部家の息子は抱き留めた。

それでも幸村家の息子はよかった。

忍足家の息子も潰すつもりでいたのだから。

次は跡部家の息子を狙おうと狙いを定めるが、跡部家の息子はすでに口端から真っ赤な血液が流れ落ちていた。

彼の左胸にはナイフが刺さっていた。

そう、忍足家の息子が刺したナイフだ。

幸村家の息子は拳銃を落とした。

地面に倒れ込んだ跡部家の息子と忍足家の息子に駆け寄る。

仁王家の息子とも駆け寄った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・コイツを殺すん・・は・・・俺・・や。・・・俺が死ぬ・・・んもコイツのため・・・にって決めてんとった・・・。

、ごめんやで?・・・守れんかったこと・・・許し・・て・・・・・な・・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゆっくりと閉じられる瞳。

は涙を流した。

涙は忍足家の息子の頬に流れ落ちていった。

すぐ隣でその話を聞いていた跡部家の息子は、小さな息での手を取った。

は今度は、彼に向き直り、首を横に振った。

 

 

 

 

 

 

「死なないで!死んじゃやだよ!ねえ!死なないでってばあ!!」

「・・・・泣くなっつーの。・・・また・・逢える・・から。・・・・・俺達は何度だ・・って巡・・り逢・・う。・・・・約束・・だ。」

 

 

 

 

 

 

弱々しく微笑む跡部家の息子も、そっと瞳を閉じた。