僕たちは、信じていた。



この
真実から逃げたくなかった。































不二家の息子と宍戸家の息子の死の知らせはすぐに各家に伝わった。

その知らせを聞き、跡部家の息子は初めて全てを知った。

自分の過ちを責めながら、それでもなお、を愛す気持ちは変わらなかったのだった。

その時、跡部家にやって来た一人の少年がいた。

彼は切原家の息子。

彼と跡部家の息子は言い争いになった。

とは言っても、切原家の息子が一方的に責めていたのだが、跡部家の息子は切原家の息子を追い帰そうとはしなかった。

自分は責められても仕方がないと思っていたからだ。

 

 

 

 

 

サンじゃない!俺達の関係を壊したのはアンタだ!殺されるのはアンタの方だろ!?」

 

 

 

 

 

切原家の息子は拳銃を跡部家の息子のこめかみに当てた。

跡部家の息子は動かず、目を閉じた。

覚悟を決めたのだ。

しかし切原家の息子は引き金を引くのに戸惑った。

怖かったのだ。

引き金に掛けた指に力を入れたその時、切原家の息子の拳銃ではなく、違う拳銃が火を噴いた。

血を吐いて倒れた切原家の息子。

跡部家の息子は顔を上げた。

そこにいたのは忍足家の息子だった。

彼の表情はいたって普通で、拳銃を持ったまま跡部家の息子に向かって歩き出した。

 

 

 

 

 

「助かった。・・・・・なんて思わねえ。どうして死なせてくれなかった?」

 

 

 

 

 

視線を落としたままの跡部家の息子の頭を、忍足家の息子は苦笑いしながら撫でた。

彼はいつも跡部家の息子を守ってきた、跡部家の息子の中でも一番と言っていいほどの仲だったのだ。

彼も跡部家の息子が裏切ったと聞いた時、少なからず衝撃は受けたが、彼は跡部家の息子を守ると心に誓っていたのだ。

そして愛するのことも、跡部家の息子になら任せることができると半ば諦めていた。

 

 

 

 

 

「アホ言うなや。もしお前が誰かに殺されたら俺、そいつ殺しにいくで?」

 

 

 

 

 

彼はまだ知らなかった。

この後、自分が一番跡部家の息子を追い詰め、自らの手で彼を殺すことになるなんて。

この時はそんなこと、わかるはずもなかったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「とりあえずお前ん家着いたから今日は家にいろ。まだ家ん中なら安全だろぃ?親父が守ってくれるだろうからさ!」

 

 

 

 

 

大富豪の家に着いた二人は、が頷くと、家の中へと入った。

真っ先に目に入ったのは先ほども見た真っ赤な血。

家中に広がる血は、彼女の思考回路を停止させた。

 

 

 

 

 

「これ・・―――――――血?」

 

 

 

 

 

彼女の口から漏れた言葉は丸井家の息子の胸を締め付けた。

先ほどは自分が見せた血を、今度は彼女の家の中で自分が見せられることになるとは・・・。

目の前の階段の前で、背中を向けて立っていた一人の血だらけの少年が振り返った。

彼はそう、彼女を殺す計画を持ち掛けた当主の息子、千石家の息子だった。

 

 

 

 

 

「待ちくたびれちゃったよ。・・・・ちゃん?」

 

 

 

 

 

笑った。

彼は涙を流しながら斧を振りかざした。

丸井家の息子は拳銃を構え、撃った。

しかし、弾は確かに彼の体を貫通したのにも関わらず、彼は倒れない。

丸井家の息子は全ての弾を千石家の息子に撃った。

それでも彼は斧を振り投げた。

斧は深く柱に刺さり、千石家の息子はその場に仰向けになって倒れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・どうして邪魔・・・したの?終わらせ・・・たかったのに・・・。もう・・これ・・で・・・ちゃんさえ・・・殺せ・・ば全て・・・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

終わったのに

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

涙が流れ、千石家の息子は目を閉じた。

思い出すのは十五の仲間で笑い合い、幸せだった日々。

もう戻らない、大切な日々。

彼は大好きだった。

仲間ををこの村の全てを愛していた。

だから終わらせたかった。

自分の手で・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし終わらない。

この物語は終わらない。

永遠に廻り続ける残酷な輪廻。